色彩のみからなる商標
Q:質問
「色彩のみからなる商標」と、従来から登録されている「三色旗」のような商標とはどこが違うのですか。
A:回答
従来から登録されている「三色旗」のような商標は、一見「色彩のみ」のように見えますが、「四角い枠」の中での色の塗り分けとして登録されています。すなわち、一定の大きさの「枠」の中が色分けされている、というものです。
他方、「色彩のみからなる商標」は「四角い枠」がないのです。
一昔前カメラ屋さんへ行くと、「緑」「青」「黄色」というパッケージのフィルムやレンズ付きカメラが並んでいました。当時の大手写真材料メーカーが自社の「色」を決め、需要者も色でメーカーを区別していたと思います。
「色彩」が出所識別標識(=商標)として機能していたといえます。「色彩のみからなる商標」の典型例だと思います。
別の事例としては、コンビニの店頭の表示があります。各コンビニは2ないし3色の帯を表示しています。横長の表示であって、「四角い枠」はありません。これも「色彩のみからなる商標」ということになるでしょう。
特許庁の扱いでは、「位置を特定した色彩のみからなる商標」というものを認めています。例えば、「うちの会社のテニスラケットのフレームは全て同じ色だ」「この色を見ればうちの会社の商品だと分かる」というような場合は、「位置を特定した色彩のみからなる商標」になると思います。
「色彩のみからなる商標」の登録を意識して、自社商品の「色彩」を管理することが重要になると思います。
位置の商標
Q:質問
「位置の商標」とはどういうものなのですか。
A:回答
「位置の商標」というのは、本来識別力のない標章を「特定の位置」に表示することで識別力を発揮しているものを想定していたものです。特許庁の説明資料でも、ゴルフバッグの特定の位置に「○」という識別力のない図形(標章)を表示する例が掲げられています。
加えて、もともと識別力のある標章を特定の位置に表示するものも、登録の対象とされています。
しかし、企業のブランド戦略としては、「部分立体商標」と考えるのがよいと思います。自社の商品は、特定の位置の形態がみんな同じである、というような場合、位置の商標として保護を受けられる可能性があります。
典型例は、自動車のフロントグリルです。
音の商標
Q:質問
当社では「文字商標 PARADA」の登録を受け、テレビCMでは「パラダ」と発声しています。音商標で「パラダ」を登録する必要があるのでしょうか。
A:回答
必要はありません。
特許庁の審査基準では、文字商標の「称呼」と音商標とはクロスサーチすることとされています。したがって、4月以降第三者が音商標として「’パラダ’という音」を出願しても、原則として拒絶されます。
もし登録されたとしても、従前から使用していたのですから、「継続的使用権」が認められ、従前から使用していた範囲においては問題なく使用できます。
しかし、文字商標を読み上げる行為(CMなど)と、音商標との関係が未だ不明確です。峯は、音商標を読み上げる行為と音商標は、権利は抵触しない、侵害は発生しない、と解釈していますが、違う理解もあります。
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