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レガート知財事務所

登録していないデザインの保護

q:質問
当社が新しい形態のキーホルダーを販売したところ、発売後3ヶ月で中国から模倣品が輸入されました。当社では意匠出願をしていませんがその販売を差し止めできないでしょうか

 

A:回答
不正競争防止法で差し止めが可能です。 不正競争防止法は他人の商品販売開始後3年以内にその商品の形態を模倣した商品を販売することを禁止しています。 したがって、貴社は不正競争防止法に基づいて輸入品の輸入・販売の停止を求めることができ、損害賠償の請求も可能です。 また、意匠法は「新規性喪失の例外」を広く認めており、自己が販売した後であっても6ヶ月以内であれば、出願して登録を受けることが可能です。模倣品は貴社の外注先から漏れたのだと思いますので、おそらく貴社の「意に反する公知」に該当すると思います。発売後3ヶ月以内ですから、新規性喪失の例外の適用を受けて登録を受けることも可能だと思います。

関連意匠

(1)新しい関連意匠制度
現在の関連意匠は、本意匠に類似する意匠のみを関連意匠として登録する制度であり、関連意匠には類似し本意匠には類似しない意匠は、意匠登録を受けることができません。
すなわち、本意匠の保護を強化するためには機能しますが、順次改変されるデザインを十分に保護する制度ではありません。
新しい関連意匠制度には、以下の特徴があります。
ア)関連意匠に類似する意匠を連鎖的に登録することができる。
イ)意匠登録されていれば、その意匠が公知になった後であっても、その意匠に類似する意匠を関連意匠として登録することができる。
ウ)最初に登録された意匠(基礎意匠)の出願から10年間、関連意匠の登録を受けることができる。


(2)対応
注意が必要なのは、イ)です。
自己の登録意匠Aに類似する意匠Bを「関連意匠」として出願したとき、「公知」になっている類似する意匠が、自己の意匠Aのみであれば、意匠Bは登録されます。
しかし、次のような場合は登録できません。
@出願意匠Bに類似し、登録意匠Aには類似しない、自己の公知意匠がある場合。
A出願意匠に類似する他人の公知意匠がある場合。
 他人の公知意匠が、たとえ意匠Aの侵害品であってもだめです。
Aの事態は自分たちの力ではどうすることもできませんが、@の事態を防止するためにどうすべきかは考えておく必要があります。
具体的に説明すると、登録意匠Aを改変した意匠を上市する場合、この意匠が明らかに登録意匠Aに類似すれば出願は不要ですが、類否が明確でない、という場合は出願しておかないと、その後に出願する意匠の登録に不利になるのです。
「連鎖的に類似する意匠」の出願を管理することが、きわめて重要になります。

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